6月3日土曜日、九段会館で『となりの山田くん』の試写会を観てきました。
『バレ無しレポート』で語りましたが、大きな期待を持って試写会場にのぞみました。
そして、その感想ですが・・・
映画の内容は、残念ながら観る人間を選ぶ映画と言えると思います。
巷で言われていた通り、ジブリ作品の今までのイメージと大きくかけ離れた映画になっていました。
『ヒットは難しいのでは?』と言われていますが、私も少しそう思いました。
ただ、今回の私が目的としている映像の方ですが・・・
驚きました。
恐るべき映像です。
画面が持っている力に圧倒されました。
本当に水彩画がそのまま動いているのです。
ラフな鉛筆のタッチに、軽く透明水彩で色を塗った画面が、そのまま何の違和感もなく動くのです。
またその色彩が綺麗なんです。
映像のカテゴリーを分けると、3種類くらいありました。
いしいひさいちのマンガにそのまま色を塗ったような画面。
スタジオジブリらしいダイナミックな動きの画面。
3DCGに色を塗った画面。
それぞれの画面について書きたいと思います。
まずは、いしいひさいちのマンガにそのまま色を塗ったような画面。
いやぁ・・・再現性が凄く高いです。
キャラクターそっくり!
また、演技が良いんですよ。
キャストが良かったというのもあるのでしょうが、本当に原作のイメージそのまんま。
水彩画のタッチによって、これだけの再現性を得たと言えると思います。
セル画ではこうはいかなかったでしょう。
線のタッチもラフな感じで良かったです。
マンガ原作のアニメで、原作のイメージを多く残したいのであれば、水彩画表現の方が向いていると思わされました。
(勿論、今までのセル画表現の方が劣っているという意味ではありません)
次は、スタジオジブリらしいダイナミックな動きの画面。
『となりの山田くん』でダイナミックな画面?
と思われるでしょうが、少しはあるのです。
イメージのシーンで使われていました。
動きそのものは、スタジオジブリならではの迫力ある作画で、非常にカタルシスのある画面になってました。
そしてそれに水彩画のタッチが付いてました。
感想ですが・・・
最高!
以上です。
という訳にもいかないので書きます。
このシーンでは水のシーンが多く出てきます。
もともと水彩画は水の表現に向いていると言われています。
水を使った絵の具だから水の表現に向いている。
単純な話しです。
ダイナミックな波の表現。
川の流れの表現。
静かな水面の表現。
どれもこれも素晴らしいです。
(ちなみにこのシーンの音楽も良かったです)
映画は見なくても良いですからこのシーンだけは観て下さい。
お願いします。
ちなみに私は、鳥肌が立ちました。
最後に、3DCGに色を塗った画面。
俯瞰図でカメラが動く画面でした。
動き的にはゲームの3DCGムービーの様な動きでした。
この手の映像が好きな方って多いですよね。
ぐりぐり動いて迫力の映像だと思います。
でも、欠点もあると思います。
画面がテカテカしすぎて、冷たい印象がありますよね。
それが理由で嫌いな人もいるのではないでしょうか?
しかし、この映画ではその欠点は解消されていました。
迫力があって温もりがある。
温かい3DCGという、新しい映像ジャンルと言っても良いのではないでしょうか?
デジタルとアナログの両方の良い点が融合した画期的な映像だと思います。
多くの3DCG作家のお手本になって欲しい、そう思わずにはいられませんでした。
以上のように、
最高の水彩画アニメーションである、
という私の期待は大きく満たされました。
既に、早くもう一回観たいと思っています。
しかし、もう一つの期待は難しそうです。
さすがに技術力が高すぎです。
この映像に追随する作品が、そう簡単に出てくるとは到底思えないです。
そういう意味で、
商業アニメーションの表現に、水彩画タッチが加わる、
という私の期待は、実現度が低いか、まだ時間がかかると思われます。
少なくともスタジオジブリ自身が、この手法に慣れる事が必要でしょう。
恐らく宮崎駿監督作品となる、スタジオジブリの次回作。
これも非セル画タッチのアニメーションになると思われます。
(これも凄い作品になりそうだなぁ・・・)
少なくとも、これが完成した後にならなければ無理だと思います。
しかし、大きな影響を与える可能性は大でしょう。
以前から、セル画からの脱却を図ろうとしている演出家はいます。
そういった演出家達にとってこの作品は、大きな刺激になると思われます。
脱セル画、
こういったムーブメントがこれから大きく起こってくるのではないでしょうか?
そしてこの変革が、セル画アニメーションの表現にも大きな影響を与えるでしょう。
最終的には、セル画アニメ、水彩画アニメ、その他のアニメ、その境界線が無くなると思います。
『となりの山田くん』以降、商業アニメーションが大きく変わった。
そう言われる日が来るのを、私は信じています。
冒頭で書いたように、観る人を選ぶと思われる『となりの山田くん』。
でも、本当に多くの人に観て欲しいと思いました。
世界初の、水彩画タッチ商業アニメーションの素晴らしさを堪能して欲しいです。