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となりの山田くん、その2

次は映画の内容について書きたいと思います。
まず、不満点から書きましょう。

はっきり言って説教臭かったです。
『狸』もそうなのですが、この映画も私にとっての高畑映画の魅力の一つが欠けていました。
それは解釈の幅の広さです。

『おもひでぽろぽろ』は、高畑監督の日本の農業に対する危機意識が示されていました。
しかし、それは観客にとってはどう解釈して良い物でした。
共感して、
「うん、その通りだ」
と思っても良いですし、聞き流して別の部分を楽しめる映画でした。

ただ、変な曲解が多かったのは嫌でしたが・・・

『AERA』に掲載の、『弄ぶな』というタイトルで書かれた記事は、勘弁して欲しかったです。
「都会人の傲慢だ!」
と書かれていたこの記事には、思わず脱力してしまいました。

ついでに言うと、
「田舎の人間を良い人に描きすぎている」
という意見も変だと思います。

阿部君のエピソードで、彼等がタエ子をとしおの嫁にしようと虎視耽々と狙っていた事が明らかにされます。
お父さんですら、
「物事には順序ってのがあるんだよ」
と語り、タエ子捕獲そのものについては賛成である事を明らかにしています。

『火垂るの墓』も、広い解釈を許す映画でした。

一般には反戦映画と呼ばれています。
勿論、そういった映画でもありますし、そう解釈される事に全く問題が無いと思います。

しかし、別の見方も出来ます。
私の回りでも、皆それぞれの解釈をしていますし、またそういった幅の広い解釈を容認出来る映画だと思っています。

友人にこの映画を観るのを薦めた時、
「テーマは何なの?」
と聞かれて困った事がありました。

しかし、『狸』も『山田くん』もテーマを語っています。
これにより、観客の解釈の幅が狭まってしまったように思います。
その点が一番残念な部分でした。

後、これはいちゃもんに近いのですが、クラシック音楽の多用が嫌でした。
これはただ単に、私がクラシックが嫌いな所為です。(『好きではない』ではなく『嫌い』です)
これはどうしようもない話しですね。

以上の不満点を除けば、実に素晴らしい映画でした。

まず、高畑監督のチャレンジ精神に脱帽です。
特に今回のチャレンジは凄いです。
高畑監督のチャレンジで、一番凄い物だと思います。

商業アニメーション初の、脱セル画アニメなのではないでしょうか?(採算を意識していない、短編アニメ等は除きます)
私は、この技術が日本のアニメにとって当たり前の技術になる事を、希望しています。
そして、きっとそうなると信じています。
ジブリによる技術提供が、積極的に行われると、大変嬉しいですね。

この作品に限りませんが、高畑監督のチャレンジの凄い所は、完成度も高い事です。

チャレンジと完成度の両立は難しい物です。
当然です、参考例が無いのですから。
それを、いつも当然のように、両立されているのを見ると、驚いてしまいます。(当然では無く、七転八倒なのかもしれませんが)

次に、面白かったエピソード、気になったエピソードについて書きたいと思います。

冒頭からして良かったです。
サラサラって描かれた絵に、色がチョイチョイと塗られて、動き出すあのシーン。
鳥肌が立ちましたね。
「おおっ、これから凄い映像が観られるぞ!」
と、今までのアニメとは違う物が観られる期待感に震えました。

勿論『ボブスレー』も素晴らしかったです。
しびれまくりです。
これも鳥肌が立ちました。
これぞアニメーション、最高です! 
特に水の描写が凄かったです。

以前に見た美術書に書いてあったのですが、水彩画は水の表現に優れているのだそうです。
水彩画タッチのアニメーションは、水の表現に優れているのだという事に気付かされました。
非常にシンプルな話しです。

このシーンについては、
「映画は観なくてもいいからこのシーンだけは観ろ!」
と、無茶苦茶な事を吹聴しています。

『阿波踊り』には笑いました。
ああいうネタって好きなんです。

「勉強しなはれ」
が連呼され、しばらくして
「はは〜ん」
という気にされ、思った通りの展開になり笑える。
こういうジワジワした笑いは好みです。

『リモコン』も大笑いしました。やってる事といい、動きといい、馬鹿馬鹿しすぎます。
「こっちの方がおもろい」
が実に良く効いていました。
これもジワジワしていて良かったです。

『お見舞い』も好きです。
私の好きな、高畑監督の食べ物描写も入ってますし。
オチも、哀愁があって良かったです。

『月光仮面』は正直言って、初めは理解できませんでした。
ぱっと見、非常に重要なエピソードに見えます。
この映画のクライマックスに思えました。
しかし、これが終わると何事も無かったのように、次のエピソードが入ります。
「えっ、今の何だったの?」
と言う気にさせられました。

その後、高畑監督のインタビュー等を読んでやっと理解しましたが、これは裏技ですよね。
この映画のクライマックスは『結婚式のスピーチ』ですが、『月光仮面』+『結婚式のスピーチ』をクライマックスにすれば、判り易かったのではないかと思います。(素人考えですが)

『適当!』も良いですね。
藤原先生はとてもおいしいキャラです。
「適当にね」
笑顔が素敵でした。

キャストでは、朝丘雪路が素晴らしかったです。
良い感じな喋りをする方ですね。
とても楽しかったです。

しかし、それよりも、何と言っても『ケセラセラ』!凄く良かったです。
「恋をして彼に私は尋ねた〜」
あんな気持ち良い声で歌う方だとは知りませんでした。
短いのが本当に残念です。

音楽の矢野顕子も良かった。
実は殆ど聴いた事が無かったのです。
曲も演奏も歌も良かった。

特に声が素敵で、これも気持ち良かったです。
勿論一番好きなのは、主題歌です。
優しい歌でした。

最後にもう一つの不満点を。
ののちゃんと藤原先生の出番が少なかったのが残念でした。

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