| 突然の夏休みごめんなさいコラムです(笑)。この夏休みは、夏コミが殆どでしたが、1日だけ有明以外のところに行きました。とは言っても、池袋、秋葉原のオタクショップめぐりなんですけどね(笑)。で、池袋に行った時に、ジブリの最新作『猫の恩返し』を観てきたので、それについてのコラムを書きたいと思います。 結論から言うと、面白かったです。『千と千尋の神隠し』というお化けヒット作品の後なので、一部でなんやかんや言われているようですが、1800円と2時間をかけた価値が、十分にあると言える作品でした。狭い映画館ではありませんでしたが、立ち見は無かった物の、お客さんもいっぱい入ってましたし、ヒットしているという印象を受けました。劇場オリジナルアニメ映画がヒットしているという状況は、一アニメファンとして大変嬉しく思いました。 最近日本のアニメが世界的に評価されているとの認識が広まっていて、その象徴としてジブリ作品が上げられる事がありますが、その認識に若干の違和感を、私は感じています。ジブリ作品は、あくまで日本アニメ界の中ではイレギュラーな存在でしかなく、ジブリ作品の素晴らしさが、日本アニメの素晴らしさに、必ずしもリンクしていないと思うからです。 夏休み春休みの時期になれば、劇場アニメが数多く公開され、その年の映画興行成績を見ると、多くのアニメ映画がランクインしています。しかしその殆どは、TVアニメの映画化しかありません。つまりは、あくまでTVアニメスペシャルという位置付けでヒットしているに過ぎず、あくまで日本のアニメで、娯楽性に富み高評価を得ているのは、TVアニメの事であるのが現状です。実際、劇場オリジナル作品は少ないながらも公開されていますが、昔は角川アニメがそれなりに気を吐いていましたが、近年では大きなヒットを聞いた事がありません。 また、最近の劇場オリジナル作品を見ても、広く一般にアピールする意図すら、感じる事が出来ません。例えば、熱心なアニメファンの間では非常に評判の良い『アリーテ姫』ですが、これは私も観に行きましたが、確かに高度な技術と、作り手の野心は感じ、恐らくは評判どおりの名作なのでしょうが、私にとっては退屈な映画でしかありませんでした。それに比べれば『ポケットモンスター』『名探偵コナン』『デジモンアドベンチャー』等の、TVアニメの映画化作品の方が、圧倒的に”面白い!”と感じる事が出来ます。大衆娯楽としての劇場オリジナルアニメという物は、ほとんど存在しないのだと、言わざるを得ないのでは無いでしょうか。 そういう意味では、ジブリの活動は、『どうぶつ宝島』で終わってしまった、東映動画オリジナル劇場漫画映画の伝統を、現代に復活させようと運動と捉える事が出来ると思います。しかし、今までのジブリの試みは成功したといえるのでしょうか。確かに、ジブリ最新作が公開されるとなると、大きな話題になり信頼性の高いブランドとして機能しているかのように見えます。しかし、ジブリブランドというよりは、もう既に映画監督としては高齢の宮崎駿ブランドと言った方が適当なのでは無いでしょうか。 今までのスタジオジブリは、宮崎駿と高畑勲の2監督によって、ほとんどの作品が作られて来ました。勿論、高畑監督作品もヒットに恵まれた作品も有りますし、特に『火垂るの墓』は、日本映画界の中で、反戦映画として確固たる地位を得たと言えるでしょう。(この地位が高畑監督の好む物とは思えませんが)しかし、大衆娯楽映画としての地位となれば、宮崎駿の圧勝と言えるでしょう。『火垂るの墓』を除くジブリ作品は、ジブリがいっぱいシリーズとして、DVDが順次発売となっていますが、当初の予定では既に発売されている筈の高畑作品は、今だ発売になっていません。ジブリDVD第1段であった『となりの山田くん』以外、全て発売されていないのです。残念な事ですが、ヒットした高畑作品も『魔女の宅急便』で確立されたジブリブランドの恩恵を、一部受けていたのだと、思わざるを得ないのが現実なのでしょう。そして、『となりの山田くん』の興行的惨敗によって、ジブリブランドから宮崎駿ブランドへの移行は、強く進んでしまったのだと思います。 ですから、今回の企画でしか宮崎駿が参加していない『猫の恩返し』の娯楽性とヒットは、非常に明るいニュースだと思います。劇場オリジナルアニメ復権の為の、大きな1歩と言えるのでは無いでしょうか。勘違いされると困りますが、私はTVアニメが嫌いではありません。むしろ、宮崎駿の手塚治虫悪玉論には、大きな疑問を感じています。作品作りに手を抜かざるを得ない、低予算、過密スケジュールのTVアニメですが、それを単純に非難するのはどうでしょうか。 酷い例えですが、アニメータをネズミに、日本映画界をタイタニックに例えると、手塚治虫は沈没する巨大客船からネズミ達を先導して逃がした、感の良いネズミだったのでは無いでしょうか。その逃げ先がとんだボロ船だったのと、マンガは上手だったけれどアニメは下手だった事で、治虫ネズミが駿ネズミに、治虫ネズミの死後ボロカスに言われているようですが、あのままアニメーターネズミ達が快適なタイタニックにこだわっていたら、日本映画界と一緒に沈没していたのではないかと、愚考するのであります。勿論、手塚治虫の負の功績も、無視する事は出来ないのでしょうが、アニメの活躍の場をTVに持ってきたのは、慧眼だったのだと思います。 話しがそれましたが、『猫の恩返し』の評価です。何と言っても、単純に面白いのが良いです。ストーリーの作りが非常に良いですね。色々なピンチに見舞われますが、その解決法がキチンと伏線が張られているのに感心しました。適当にピンチを作って、画面に初めて登場する要素(キャラクター、状況等)で、そのピンチを逃れるような、反則技を使っていなかった事に、非常に好感を持ちました。『なるほど〜それがあったか〜』と観ながら何回も感心させられましたね。シナリオの良さが光ってます。 キャラも良い感じ。公開前から言われていましたが、ジブリっぽく無いキャラでしたが、絵的にも性格的にも、なかなか魅力がありました。何と言っても主人公のハルですよね。人間の姿も猫の姿も、両方とも可愛いかったです。変な性格でしたけど(笑)。でもかなり気に入りましたね。どれくらい気に入ったかと言いますと、恐らくは秋レヴォか冬コミに出るであろう、同人誌が欲しくなるくらい(爆)。 ただ、随分こじんまりとしたストーリーだな、とも感じました。メガヒットを狙うような映画に見えなかったのも、正直な印象です。大冒険というより小冒険という感じでしたが、まぁ猫の国ですから、これで良いのかもしれないですね。ただ、もうちょっと見せ場というかスペクタクルなシーンが欲しかったですねぇ。ハルが猫の国に連れていかれるような、迫力あるシーンがもう少し欲しかった気がします。後、まぁ少女マンガ家が原作者だからしょうがないのかもしれませんが、男性にとって、少々居心地が悪い映画のような気がしないでもありません。とにかく男性が出てこない、ハルの家も母子家庭で、しかもちょっと雰囲気が何でしたし。女性向に作るのが先進的だと言う、ジブリというか宮崎駿っぽいフェミ思想を感じたのは、ちょっと考え過ぎなのでしょうか。 う〜ん…本当は『ギブリーズ』についても書きたかったのですが、長くなったので取り敢えず今回はここまでで。近々書きますので、よろしくお願いします。というか、このままではどこが高畑勲ネットだ、という内容になってしまってますね。申し訳無いです。次回のコラムおセットになっていると、お考えになって下さると嬉しいです。 |