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何故高い、アニメDVD

 連日株価も下落し、『バブル後最安値を更新』というフレーズも、すっかり聞きなれて驚かなくなってしまった今日この頃。私の勤める会社も、夏のボーナスは減額を余儀なくされるのは、ほぼ確定のようで金策に頭が痛いです。しかしながら、新しくオープンした六本木ヒルズには人がわんさと訪れ、決して安くは無い食事をとっていたりもします。更には、ヨーロッパのブランドショップの日本支店が次々に開店し、ルイ・ヴィトンの売上の60%以上が日本人による物という報道もあって、何が不景気なんだか良く判らなかったりもします。

 とは言っても、名立たる自動車メーカーの多くが、外資の系列に入ってしまっている事から考えても、やはり日本は不況なのだと言わざるを得ないでしょう。私はこの外資の参入については、結構保守的な考えを持っていて、市場原理に沿わなくても国内の産業を保護しなくてはいけないと考えています。勿論、ある程度の消費者の利益を損なうとしてもです。それは全ての産業において保守的になるべきだと言っている訳ではありません。例えば、上記のブランド品などについては、規制は必要無いでしょう。

 しかし、国の基幹産業と言えるものについては、何でもかんでも外国頼りで良い訳ではありません。石油は日本から産出されないのですから、諦めて外国から買うほかはありません。しかし金融産業などは、確かに日本の銀行の現状には腹が立ちますが、だからと言って外資を無闇に導入すれば良い訳ではないでしょう。通信インフラについても同様の事が言え、例えば、日本テレコムが英国のボーダーフォンの傘下になっていて、携帯電話のJ-PhoneがVodafoneにブランド名になってしまいました。通信インフラが外国の独占物になってしまうのは、非常に危険です。是非とも、NTTグループには頑張ってもらいたいと、思っています。

 基幹産業を外国に独占されるという事は、極端な言い方をすれば、その国に逆らえなくなるという事でして、何でもかんでも規制というのは問題外ですが、やはり守るべき物は守るという意識を持たないといけないでしょう。もっとも、一番何とかしなくてはいけないのは、食料自給率が30%位しかない事だと思いますが…

 とまぁ、外資導入に関しては、かなり慎重派と言える私ですが、積極派の気持ちも、非常に良く判ります。上記に挙げた通信インフラに関しても、確かにNTTが独占している状態は、国を守るという観点からは非常に安心できますが、競争が無い所為で、消費者はずっと高い電話料金を払わされてきました。実際、若干過当競争な気もしますが、電話料金はずっと安くなり、消費者にとって非常にありがたい状況になっています。これは国内企業同士の話しですが、インターネットにしても、高速回線ADSLの普及は、ソフトバンクの価格破壊があったからと言えるでしょう。私はヤフーBBにおけるソフトバンクのやり方は、はっきり言って大嫌いですが、この功績を認めないわけにはいきません。

 これと同様の事が、アニメ業界についても言えると思います。一番判り易い例は、スタジオジブリ作品の例でしょう。ジブリ作品の現在の高人気の理由は、まずは宮崎駿作品の、非常に高いエンターテイメント性が挙げられるでしょう。更に言える事は、それの継続性でして、新作が常に面白い事が観客の絶大な信頼感を得ていると言えるます。宮崎ジブリ作品が、『風の谷のナウシカ』から『千と千尋の神隠し』まで、エンターテイメント性で観客を裏切った事は、『もののけ姫』のただ1回だけです。(厳密には『風の谷のナウシカ』はジブリ作品ではありませんが)勿論、観客の好みもありますから、全ての作品が全ての観客にとって、圧倒的に面白いわけではありません。しかし、『もののけ姫』を除けば、映画館を出た時に『ああ、面白かった』と言える作品を作り続けた事は、驚嘆に値すると思います。

 人気という点では、高畑勲作品は見劣りしますが、『となりの山田くん』を除けば、十分ヒット作と言える作品を作ってますし、何と言っても『火垂るの墓』がジブリブランドに与えた影響は、決して小さい物とは思えません。この作品、終戦記念日が近づくと、毎年のように放送していますので、もしかするとジブリ作品で最もTV放送された作品なのかもしれません。高畑監督が望む評価では無いと思われますが、良心的作品を作る、というイメージをスタジオジブリに大きく与えていると言えるでしょう。

 鈴木俊夫PDのインタビューによれば、北米で『魔女の宅急便』がミリオンセラーになったそうですし、『千と千尋の神隠し』の米アカデミー賞の受賞なども考えて、国際的な競争力も非常に高い物と考える事が出来ます。と言いますか、恐らくスタジオジブリ作品は、日本発のソフトウェアでは、最も国際競争力があるのではないでしょうか。しかし、皆様も当然ご存知だと思いますが、ソフトビジネスの最も美味しい部分の1つであるビデオ製作販売の権利は、アメリカの企業の物になっています。それも、北米における販売権だけではなく、日本における販売権すら、アメリカの物なのです。日本最高のソフトウェアが、アメリカ企業を儲けさせる物になってしまっているのです。

 しかし、日本の消費者の利益を考えると、保守的な私ですら販売権がアメリカに移った事は、良い事と思っています。何故なら、日本のアニメビデオの値段は、非常に高価だからです。スタジオジブリ作品も、徳間書店が販売している頃は、LDが約10000円、VHSはそれ以上でした。この値段では、よほどのファンでもなければ、手を出す気にはなれません。しかし、ディズニーが販売するようになってからは違います。値段は5000円を切り、宣伝も十分に行い、販売ルートを広げコンビニでも買えるようになりました。おかげで、販売数は圧倒的に増えます。売り手は沢山売れたから儲かり、買い手は安く入手する事が出来、両者が得をする状況になったのです。スタジオジブリ作品の劇場でのヒットの理由は、上記に書いた通り宮崎監督らの力ですが、ビデオがこれだか売れるようになったのは、ディズニーが力が非常に大きいと言えるでしょう。

 ジブリ作品以外でも、日本人が売る日本アニメは非常に高価です。アマゾンを見ると判りますが、日本のアニメは海外でも沢山発売されいる事が判りますが、同一のソフトの日米比を見ると、驚愕せざるを得ません。例えば、米国でも非常に人気の高い『カウボーイビバップ』ですが、日本で全巻を揃えると、1〜8が各7800円、9のみ5000円です。税抜き合計で59400円になります。それと比較して北米版はいくらなのでしょう。現在アマゾンでは、セット割引販売を実施してまして(2003年5月23日現在)、その価格は98.90$になります。現在のレートは、1$=120円ほどですので、これで計算しますと、11868円になります。何と、米国版は日本版の、1/5以下の値段で購入できるのです。リージョンの問題が無ければ、北米版を購入するのが当然と言えるでしょう。送料も、船便でしたら5$程度ですみますし、なんと言ってもDVDは音声も選べるし、字幕も消せるのですから、国内版と同様に楽しめます。

 確かに画像などは国内版の方が優れてはいます。特に昔のリージョンフリーがほとんどだった頃の北米版は、私も少々持っていますが、明らかに”安かろう悪かろう”の世界で、いくら安いからと言っても手を出しにくいものでした。しかし、最近ではリマスターもされているようで、いくつか最近の物を視聴した事がありますが、国内版ほどではありませんが、十分納得できる画像の質と言えるでしょう。上記『カウボーイビバップ』の日米差は、恐らく北米での人気の高さが影響しているのでしょう。値引率が非常に高く、他の作品ではここまでの差は出ません。しかし、日本ではこのような値引きもほとんど見る事は無いのです。

 私が三千里のコラムをやっていて強く思った事の1つは、やはりこの作品は最高と言える内容で、出来るだけ多くの人に観て欲しいとい思いました。しかし、この作品のDVDを購入するには、一体いくらかかるのでしょうか。三千里は、全52話で1枚につき4話収録ですから、全部で13枚になります。1枚の単価が3800円ですので、消費税を含めて51870円になります。さすがにいくら名作だからと言って、5万円以上も出してまで観るべきとは、熱狂的ファンの私でもなかなか言えるものではありません。

 私はメーカーの都合も考えずに、ただ消費者の立場でだけで安くしろと言っているのではありません。上記のように、スタジオジブリ作品のビデオは、徳間書店が販売している間は余程の愛好家しか手を出さない物だったのが、ディズニーが販売するようになってからは、沢山の人がビデオを購入するようになり、売り手、買い手、双方が得するようになりました。これと同じ事が、何故日本の売り手に出来ないのかが、判らないのです。例えば、『アルプスの少女ハイジ』も全話揃えれば、51870円になります。しかし、これを9800円で売るとしたらどうでしょう。海外のDVDで時折見かける、ブック型の仕様のコンパクトなケースにして、コンビニや書店でも販売し、値段は9800円。これで6倍売れば、売上では現状よりも上になります。勿論、利益の計算は単純ではありませんが、これなら10倍以上の売上も、十分現実味があるのではないでしょうか。

 スーパーで販売するのでしたら、『ドラえもん』の映画を1本1000円で売るのはどうでしょう。素人考えですが、非常に魅力的な商品になると感じるのは、果たして私だけでしょうか。子連れの買い物客にとって、非常に気軽に買え魅力がある、素晴らしい商品になるのではないでしょうか。

 どうも、日本のアニメ販売は、非常に保守的に見え、アメリカの販売の方がよりチャレンジアブルで、レベルが高く見えます。安定したマニア層を狙い、マニアが喜ぶ特典を付ける、そして値段を高くする。確かに、こういう商売の方が、売上の計算が出来る分リスクが少ないです。しかし、裾野は広がりません。長い目で見るのでしたら、その場の利益だけではなく、出来るだけ多くの人に作品を観て貰える努力をするべきなのではないでしょうか。

 かつては凄まじい勢いのあったゲーム界ですが、今はかつての栄光の見る影もありません。理由は色々あるのでしょうが、人間はゲームをやらなくても、そんなには困らないというのが、その1つでしょう。ゲームそのものが飽きられないようにする努力が、ゲーム業界には足りなかったのではないでしょうか。中古ソフト撲滅運動に見られるような、自分本位ユーザー置き去りの姿勢が、ゲーム業界そのものを衰退させて行ったのだと、私は思います。

 特に危惧するのは、以前よりアニメを観るのにお金がかかるようになっている事です。アニメがゲームと同じ道を辿らないとは、限りません。娯楽など、いくらでもあるのです。マニア商売自体は否定しません。しかし、アニメ地上波放送などと違い、アニメビデオ販売はマニア商売の方が主流となっているのが現実です。マニア商売が主流のままだと、アニメビデオの世界が先細りになってしまうのでは、と恐れているのです。ジブリ作品のビデオ販売におけるディズニーのやり方は、日本のアニメビデオ販売にとって、非常に参考になる部分があるのではないでしょうか。観客を増やす努力が、日本のアニメビデオ販売には足りないと、私は考えています。

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