赤い、赤すぎる!!!ちょっとこのページの趣旨にはずれるのですが、一部で話題沸騰の、赤い『千と千尋の神隠し』事件について少々書かせて頂きます。 なんだかんだ言って、私は宮崎駿作品の多くを観ていますが、まぁ、御都合主義というか、良い意味での開き直りが感じられないというか、要は手放しで褒めるのに、躊躇する事もしばしばです。しかし、『千と千尋の神隠し』は私にとって例外と呼んで良い作品でして、少なくとも現時点では、宮崎駿の最高傑作として、認めている作品です。本当は、劇場にもう一回足を運びたかったのですが、機会を逸してしまいまして、ですから、DVDの発売を大変期待していました。当然発売日に購入して、ホクホクと早速次の休日には堪能しようと、楽しみにしていたのです。 そしたら、友人から一本の電話が…『2chで祭りが!』驚き早速確認しましたが、友人の言う通りでした。図1を参照して下さい。上半分が本編。下半分が特典ディスクに入っていた、予告編です。何も言いません。一目瞭然でしょう。 私はDVDの画像には、さほどこだわりません。以前、無印『おジャ魔女どれみ』のVol1の画像が、批判されていましたが、彼等の言う問題点を私は発見する事が出来ませんでした。まぁ、AVマニアにしか見えない欠点なのだろうと、気にもなりませんでした。しかし、今回の件は違います。私でも判ります。明らかに赤いです。一体どうしてこんな事になってしまったのでしょうか?この作品は超大ヒット作です。マスターを作るのに、決して少なくない予算が投入されたのではないのでしょうか? 発売元であるブエナビスタは、果たしてどういう対応を取るのでしょうか?仕様と言い切るのか?回収交換を行うのか?それ以外なのか?今後の動向が非常に気になります。何にせよ、消費者にとって納得いく結果を、期待したいですね。しかし、よりによって『千と千尋の神隠し』でこんな事になるとは…さてさて、気を取り直して今回の三千里コラム。千と千尋赤い事件と今回の三千里サブタイトル、う〜ん、なかなか良い偶然です。って、無理がありますか…(笑)前回に引き続き、この回もストーリーが殆どありません。ほのぼのと、船での生活を満喫するマルコが、じっくりと描かれています。とにかく平和でして、マルコがこんなに穏やかな日々を過ごすなんて、フォルゴーレ号だけでしょうね。 冒頭は、マルコのナレーションで船での旅が語られますが、これが事実に即した内容で、知識欲を満たす内容になってます。教養人たる高畑監督らしさを感じますね。まず旅の経路が語られます。スペインのバルセロナからマラガ、そしてスペインとモロッコの間のジブラルタル海峡を通り、スペイン領カナリア諸島を抜け、ヨーロッパとお別れをします。その後、アフリカのダカールを通り抜け、本格的に、ブラジル、リオデジャネイロに向け大西洋へ出ていきます。 こういった詳しく表現されている為、地図を見れば簡単にマルコの旅を追う事が出来ますね。大西洋に出た時の、俯瞰で描かれるフォルゴーレ号のカットでの、濃い青で描かれる海のきれいさ。激しく揺れる船の描写に、船酔いに苦しめられるマルコの姿が、外海に出た雰囲気を醸し出しています。カナリア諸島の美しい景色、アフリカの灼熱の太陽も、船旅の雰囲気が溢れています。ここでフォルゴーレ号の帆を張る描写がありますが、ここでアメデオ並みの運動神経を見せるロッキーが(図2)、なかなか良い味出しています。但し、ステレオタイプの黒人は差別だ、と言い出す人がいるかもしれないですね(笑)。 この後は、ナレーション抜きでマルコの船での仕事が描写されています。マルコの給仕の仕事も、船に慣れたマルコがさり気なく描写されていて良いですね。気軽に挨拶を交わすところや、カードを楽しんでいる男性達にコーヒー(?)を届けた時の、男達の気軽な礼が、そういった雰囲気を醸し出しています。でもここで一番気に入っているシーンは、読書しながらアメデオをなでる婦人ですね(図3)。前回、石炭で真っ黒になったアメデオを、ネズミを間違え悲鳴を上げた彼女ですが、アメデオにすっかり情が移ってしまった事が判る、何ともほのぼのとした、さり気なくも良いシーンです。 給仕の仕事の次は、水夫の仕事。って、マルコは本当に働き者ですなぁ。これ以外にも、厨房での仕事もやっているのですから…私も少しは見習わなくてはいけないかも(笑)。冗談はさておき、甲板のヌルヌルを取る為、植物の実みたいな物で、甲板を磨く作業。何故この仕事が必要であるかも説明されていて、非常に勉強になります。イルカとフォルゴーレ号の競争もキチンと描かれています。イルカが競争をしたがる修正がさり気なく語られているところとかも良いですね。ちなみにフォルゴーレ号の再考船速が16ノット(29.6km/h)ですから、最高速40km/hのイルカには勝てないところも、なかなかです。そして、海坊主の話しになりますが、ただのマルコを脅かす為の話しだけには終わらず、時間を伝える鐘も、パターンを変えて鳴らす事が説明されており、船乗り独自のローカルルールみたいな物が描かれており、これもまた味のある描写になっていると言えます。余談ですが、この時の海坊主の真似をするロッキーが(図4)、これまたトトロそっくりであります(笑)。宮崎駿のレイアウト用紙が想像できますね。お次は釣りのエピソード。マルコを脅かす算段をする為、マルコは厨房から釣り竿を渡され追い払われます。釣りとは当然、魚がかかるまでの待つ時間がありますが、この待つ時間での会話も楽しいです。ロッキーとジャコモが、海坊主だとか鯨とか地球(ボロ靴&空き瓶付き)とか言って、マルコをからかうのも良いし、赤道、太陽迷子にならない説を披露してマルコをからかおうとするジャコモに、陸に赤ペンキで線を引いて、一年一度塗り替える説で切り返すマルコも良いです。 ロッキージャコモの予想を覆し、見事魚を釣り上げるマルコですが、これを聞きつけ包丁を持って駆けつけるレオナルドが、まず面白いです。また、魚を釣り上げたマルコ自身により、厨房で料理をしますが、ここでその味に唸るレオナルドも、またまた面白い。ちなみにここでの魚料理ですが、三千里久々の料理描写。グルメ演出家、高畑勲の技が、またまた楽しめる名シーンです。魚料理の、油が乗った感じが実に良く描かれていて(図5)、これまた実に美味そうなのであります。さて、次は赤道まつりの描写ですが、レオナルド達はマルコを脅かそうと企んでいるのですが、この企みは、それに直接関わっている船員達以外にも、それなりに伝わっているみたいです。操舵室での、『マルコの初航海を祝ってやるんだと、張り切っている連中もいて』という台詞から、それが伺えますね。それを受けて船長が『マルコは赤道まつりにはちょっとした冗談は許されるという事を知らんのだろう』と邪悪な事を言ってますが、それに『えぇ…』と邪悪な笑みで切り返す船員が(図6)、なかなかナイスです。冒頭の給仕の仕事もそうですが、直接深く関わっている、レオナルド、ロッキー、ジャコモ以外の人々にも、マルコが愛されているという、非常にさり気ない、かつ人の心が伝わる、高畑監督らしい描写ですね。 それにしても、あのアンナの扮装はやりすぎですわな。マルコが怒るのも当然でしょう(笑)。レオナルドの言い訳が、虚しく聞こえるのは私だけではないと思うのですが、いかがなモンでしょうか。笑って許すマルコに、大人の度量すら感じましたが、どうです?(笑)さて、今回最大の名シーンですが、読書をしながらアメデオをなでる婦人ですかね。旅の時間経過が感じられるし、思わずニヤリとする、楽しいシーンでした。ページを捲っている間に、アメデオがいなくなって、ちょっと驚くところなんかも、気持ちよかったです。 |
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